以前のHPで、2004年2月~2006年10月まで綴った三人の日記です。
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☆2月18日(水) 花火 HIOKING
昨日初日を迎え、今日はいきなり休演日。朝だけバイトして夕方まで寝ました。夜はバイトの飲み会に顔を出してきました。学生がほとんどで無茶な飲み方をして歩けなくなる若者もいて疲れました。介抱してたら上京したての10代の終わりを思い出しました。
東京最初の夏に部屋で豊島園の花火の音を聞きつけて見える場所を探して町中を歩きました。結局見えなくてあきらめて帰りました。アパートの階段を上ったところで、ビルの影から4分の3だけ顔を出した花火を見て随分都会に来たんだなと思ったもんです。綺麗だったような、思い出すと淋しいような。
今日日記に書くようなコトはないけど、たまにはいいかなと思いました。でもなんで夏の思いでなんだろ。
☆2月18日(水) 埼京線のマルコメ 順子
先日、バイト帰りに電車に乗っていたときのこと。私はちょうど恵比寿で、まぶたの下のほうをパンダみたいに黒くぬっているレディ二人組みの隣に座った。
右斜め前方にはみごとなマルコメくんが四人、長細い袋を持って立っていた。私は読みかけの小説を開き耳はダンボ。私はなにかをしながら人の話を盗み聞くのが小さいころから大好きなんである。なんていやらしいやつだと思ったときもあった。でも好きなんだもん。しかたない。
「俺、竹刀いっぱい買っちゃった」と嬉しそうにひとりのマルコメくんが言った。そうか剣道の試合の帰りかな。それにしても「竹刀いっぱい」とはどういうことか。なんだかこの子、ただ者ではないような気がした。
電車が渋谷に止まり、ふたたび動き出したとき、隣に座っていたパンダレディの一人が
「ねえーいまの渋谷ー?」
もうひとりのパンダが
「えーわかんないーしんじゅくー?」
「でも看板に渋谷ってかいてあるー」
「じゃあさっき止まったの恵比寿ー?」
「恵比寿だよね。」「うん」
渋谷で降りるつもりだったみたいだ。そこへ「つぎは~しんじゅく~」すかさずアナウンス。
「新宿だって~」「うん~」「いいや~」「うん~」
といって、♪あきらめましょう~ と歌っていた。
レディたちが去った後で、マルコメくんのひとりがぽつりと言った。
「電車乗り過ごしたときってさ、死にたくなるよ。・・・悲しくなる・・・」
衝撃の告白に、それまで剣道話に盛り上がっていたマルコメたちが一気に黙りこくってしまった。そのうち一人が
「そうだよな・・・悲しくなるよな」
と言っていたがその口調はあきらかに動揺していた。「死にたくなる」と言っていた彼は、よく我々が「今日さー電車乗り過ごして遅刻してーこうゆうときまじ死にたくなるよねー」というようなニュアンスで言ったつもりだったらしく、動揺する相手にどう返していいかわからずにいるご様子。私はおかしくてかなりぶるぶるしていた。それからほんの少したってから、ひとりのマルコメ君が抑揚のない声でつぶやいた。
「死ぬな」
マルコメたちの空気が一瞬にして凍った。
何ということだ・・・何ということだ。私は「いちご同盟」を思い出し胸が熱くなった。いっ、いったい、どのマルコメが!?私はすかさずチェックをいれた。三人のマルコメ君は、竹刀の入った袋を両手で握りしめ、もじもじと下を向いている。そしてもうひとりのマルコメ・・・片手でつり革をもち、宙を見つめている。そしてもう片方の手には通常の倍近くはある、幅広の袋・・・何本も竹刀が入りそうな・・・いや、入っているのではないのか!?君か?君か?「いちご同盟」は竹刀もちの君か!?しかも今日、試合にそんなに竹刀を持っていったのか!?新しいの一本ではいかんのか!?TPOにあわせて使い分けているのか!?それとも二刀流か!?(剣道部のヒオキサン、二刀流ってありですか?)やはりこのマルコメただ者ではない・・・。私は、さきほど笑っていた自分が急に恥ずかしくなった。俺、汚れつちまったな・・・と思った。竹刀持ちの彼は、難しい顔をしてさらに続けた。
「だってさー、明日の試合の相手三年だぜ?」
マルコメたちは全員、「え」という顔をしていた。もちろん私も。しばらくシーンとした後、ひとりのマルコメ君が「そ、そうだよな。でも○○校ってレベル低いらしいよ。」といったのをきっかけに、ふたたび剣道話に花をさかせていた・・・。
「マルコメくんたちの試合、勝ったらいいーーな」と思った。どうなったんだろう。
必殺☆溜め書き!また来月アディオース!!
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